小田神社の神様と海幸山幸物語

小田神社とはたごの関わりをお伝えする前に、小田神社がおまつりしている神様について知っていただけると、より楽しいのではないか、と考えまして、今回は御祭神にまつわる有名なお話をざっくり書いてみたいと思います。

小田神社のご祭神

◎彦火火出見尊【ヒコホホデミノミコト】

(山幸彦≒浦島太郎)

◎豊玉姫命【トヨタマヒメノミコト】

(乙姫さま)

◎玉依姫命【タマヨリヒメノミコト】

(乙姫さまの妹)

鵜草葺不合尊

【ウガヤフキアエズノミコト】

(山幸彦と乙姫さまの子)=神武天皇の父

うみさち やまさち の神話のなりたち

古事記と日本書紀に書かれている神話です。

神様のお名前が、古事記では火遠理命(ほおりのみこと)・山佐知毘古(やまさちびこ)で、日本書紀では彦火火出見尊になりますが、お話の流れはおよそ同じ。

それがいくつかの書物を経て、中世期の御伽草子で浦島太郎と乙姫になったよう。

主人公が海神の宮を訪れて、美しい海神の娘と結ばれるお話は、東アジア圏にしばしばあるそうです。

なにかしらの有名な歴史的な事実が形をかえて伝わったのか…想像が広がりおもしろいですね。

気になるストーリー

海幸彦と山幸彦は兄弟の神様です。

海での漁が得意な兄の海幸彦、山での猟が得意な弟の山幸彦。

ある日、弟が兄にたまには得物をとりかえてみようと提案するところから物語は始まります。

兄は冷静にも、得意以外のことをしてもうまくいくはずがない、とすげなく断りますが、それでもあきらめきれずせがむ弟に根負けして、魚が良く釣れる釣り針と弟の狩りがうまくいく弓矢を交換しました。

当初の予測通り、うまくいかず、挙句の果て、山幸彦は兄の大事な釣り針をなくしてしまうのでした。

しょんぼりして、兄に釣り針をなくしたことを告白すると、兄は怒り心頭。探してこいの一点張りです。

どうにもみつからないので、山幸彦は自分の刀を500個・1000個と釣り針に打ち直し2度も許しを請いましたが、許してもらえません。

山幸彦が浜辺で所在なく佇んでいると、シオツチノカミが現れて相談にのってくれました。

潮の流れを操ることができるシオツチノカミに促され、用意された小舟に乗って進むと、ほどなくして見事な海の宮へたどり着くのでした。

海の宮編

シオツチノカミのアドバイスをもとに、宮の前の大きな桂の木に登ってじっといると、トヨタマヒメの侍女が木の下の泉に水を汲みにやってきました。

水に美しい男神が映っているのをみて侍女は驚きます。

話をきいたトヨタマヒメも興味を持ち、門まで出向くと、お互いに一目ぼれ。一気に恋におちてしまいました。

トヨタマヒメが父のワタツミノカミへ山幸彦を紹介しますと、宮殿あげての大歓待で、なんとその日のうちに2人は結婚することになったのです。

楽しく過ごすうちに3年の月日が流れ、ある時、山幸彦はふと海幸彦のことを思い出しました。

なんとも憂鬱になり、ためいきばかりになった山幸彦にワタツミノカミは事情を尋ねます。

なくした釣り針を探すためにここへやってきた経緯をあらいざらい話すと、ワタツミノカミは海中のすべての魚を呼び出し皆に尋ねました。

すると、ずっと具合の悪いタイがいるとの話をきき、そのタイの喉を探ると、海幸彦の釣り針がでてきました。

ワタツミノカミは、きれいに洗った釣り針と2つの玉を山幸彦に手渡しました。

みちしおの玉とひきしおの玉です。

「この釣り針を返す時は、うしろむきで、『ぼんやりの釣り針、しっぱいの釣り針、貧乏の釣り針、愚かな釣り針』と言って渡しなさい。兄が山の上に田んぼをつくったら、あなたは下に、兄が下に作ったら、あなたは上に作りなさい。そうして3年が経つうちに兄は貧乏になるでしょう。兄が腹をたてて、あなたのところへ攻めてきたら、このみちしおの玉でおぼれさせなさい。許しを請うたらひきしおの玉で助けてあげなさい」

さあ、これで山幸彦は安心です。ワタツミノカミに感謝して、山幸彦はサメにのって、もとの国へ帰ることになりました。

「必ず会いにゆきます」とトヨタマヒメは涙ながらに見送りました。

帰郷編

陸にもどった山幸彦は、急ぎ海幸彦の家へかけつけますと、小さかった家は3年の間に立派なお屋敷になっていました。

詫びの言葉とともに釣り針を返そうとすると、海幸彦はにこりともせず、「今更だが、まあ受け取っておこう」といいます。

山幸彦は悔しい気持ちをがまんしながら、ワタツミノカミに教えられた通りのやり方で渡しました。

自分の領分だった山の上は海幸彦の田んぼになっていたので、仕方なく山の下へ田んぼをつくると、不思議なことに豊作だったはずの山の上が枯れて、下の田んぼは水がまわり豊作となりました。

次の年、兄は弟を山の上へ追いやり、下の田んぼを自分のものにしました。すると今度は下の水が枯れ、山の上に水が沸きだします。

これを繰り返す3年のうちにすっかり海幸彦は貧しくなってしまいました。

「全部あいつが帰ってきたせいだ!!!」

海幸彦は多くの男たちをひきつれ、山幸彦をおいだしにやってきたので、山幸彦はみちしおの玉をなげつけました。

するとあたり一面、突然潮が満ちてきて、攻めてきた男たちをすっかりのみこんだのです。

溺れもがきながら多くの男たちが流されてゆきます。

「ややや、助けてくれ!俺が悪かった。ゆるしてくれーーーーー」

必死の形相で木につかまりながら、海幸彦が懇願したので、山幸彦はひきしおの玉をつかんで投げますと、不思議なことに、すーっと潮が引いて、元通りの草原になりました。

海幸彦は両手をついて今までの非礼を詫び、山幸彦へ仕えることを誓ったそうです。

トヨタマヒメ編

それからしばらくの後、トヨタマヒメが海から山幸彦のところへたずねてきました。

再会の喜びもつかの間、トヨタマヒメが山幸彦の子を身ごもっていることを告げたので、海辺へ出産のための建物(産屋)を急いで作ることになりました。

ところが、屋根を葺きおえないうちに産気づいたため、慌ててトヨタマヒメを運び込みますと、トヨタマヒメは、出産をするときは、海の神の本来の姿に戻らなければならないので、決して産屋の中をみないでほしいと山幸彦に強く願いました。

わかったと返事をしたものの、心配と興味がまさった山幸彦は、小屋の隙間からそっと覗いてしまいます。

小屋の中ではなんと、大きな大きなワニ(サメ)がのたうちまわっているではありませんか。

びっくりした山幸彦は思わず逃げ出してしまいました。

姿を見られたことに気づいたトヨタマヒメはそれを恥じて、産んだ赤子をおいて海へ帰ってしまいました。

約束を破ってのぞき見をした夫を恨みはしましたが、それでもやはり恋しい気持ちも抑えられなかったトヨタマヒメは、子育ての為に妹のタマヨリヒメを遣わし、その時に山幸彦へあてた歌を託したそうです。

 

赤玉は 緒さへ光れど 白玉の

きみがよそひし たふとくありけり

(赤玉は、それをとおす緒さえ美しく光りますけれど、それにもまして白玉(真珠)のようなあなたのお姿は、なんと立派で美しいことでしょう)

 

そののち、山幸彦は、九州 高千穂の宮で500年生きたそうです。

山幸彦とトヨタマヒメの間に生まれた、ウガヤフキアエズノミコトは自分を育ててくれたタマヨリヒメと結婚し4人の子をもうけました。

その子どものひとり、カムヤマトイハレビコは成人して神武天皇と呼ばれるようになりましたそうな。

おしまいに

かいつまんだつもりでしたが、なかなかに長くなりました。

山幸彦はよほど格好良かったのでしょうね…トヨタマヒメの惚れようにワタツミノカミがびっくりしたというニュアンスもありました。

最後までお付き合いくださりありがとうございました。

物語の舞台は九州のようですが、なぜ、小田の神社がこの物語にかかわりの深い神様をおまつりしているのか。

おそらく海のそばで、九州の地をほうふつとさせるロケーションがあったからではないか、というお話です。

元は海の中にお宮があったといわれていますから、もっと具体的ないわれがあったかもしれませんね。

これまた想像するだに、おもしろいお話です。

次回は小田神社と小田温泉の繋がりをご紹介したいと思います。

おかみかく

*この度の内容は、小田神社の宮司さんのおはなしと、ポプラ社刊西本鶏介さんの絵本の内容をベースにいたしました