はたご小田温泉の湯の秘密
小田川の恵み
ことの起こりは、大正の末。小田川のとある場所に湯の華が浮いているのがみつかりました。
いわゆる「自噴」です。
そのころ、現在の建物があるところは田んぼでした。
ここに温泉施設を作ろうと思ったのが、当館初代主人、石飛房太郎。
時は大正、まだまだ温泉施設は稀で、交通手段も限られ、各家庭には自前の風呂などほとんどない頃。
噂をききつけて、遠方から訪れる人が増えたので、食事を提供し、はては宿泊も受けるようになり、と次第に宿屋になったと伝え聞いております。
戦前の鐵道省発行の「温泉案内」にも「小田鉱泉」として掲載されております。
立地について
周辺に同じ泉質を持つところはなく、オンリーワンの自家源泉です。
9号線やJR山陰線の西と東を繋ぐ視点でみますと、出雲の端、石見の口となり、東西を行き来するにみやすい場所。
そして南北の視点にかえてみますとこれがびっくり。
地図上では、北は日御碕、南は三瓶山を一直線に結んだ丁度真中にございまして、水の宮と火の山の間、まさにこの湯は自然の恵みそのものではないかと思えてなりません。
泉質について
現在の温泉法でいいますと、「温泉法第2条別紙のメタホウ酸(HBO₂)、メタケイ酸(H₂SiO₃ )の項に該当する温泉」低張性中性冷鉱泉 に分類されます。
昔は「含土類芒硝食塩泉」といわれておりました。
時により、ほのかな白濁や土気のにおい、わずかに塩気を感じることも。
源泉温度が20度前後ですので冷泉となりまして、浴用に加温をいたします。
季節により40~42℃あたりの設定にいたしておりますので、ゆっくりじんわりとお楽しみになれます。
phは7.2の中性、溶存物質は830mg/kg
イオン比率は、陰イオンが陽イオンの倍、さらに特筆すべき特徴は、陰イオンの塩化物イオン、炭酸水素イオン、硫酸イオンの比率がほぼ1:1:1でとてもバランスの良い配合となっております。
この成分の特徴から導かれる効能は、クレンジング効果と保湿が同時に叶う、いわば、リンスインシャンプーのような温泉であるということ。
中性の単純泉でマイナスイオンがたっぷりのメタケイ酸泉、つまり、感触だけでなく、成分としても実際に、お年寄りから赤ちゃんまですべての方にやさしい、やわらかなくつろぎの湯でございます。
癒しの湯でリフレッシュ
本来、汗が流れるまで浸かるのは温まりすぎで、そうなると逆に体が冷やす方へ向かうのだとか。
ほどよい時間を数回に分けて楽しんで頂くのもひとつでございます。
お楽しみいただける浴槽が増えましたので、入浴方法を様々にご体感いただきたいと思います。
当館の浴槽には、3代目主人作の龍泉の湯と飛天の泉の2種があり、男女に分けてご利用いただいておりました。
こちらは温泉宿らしく、大きな浴槽で、非日常の入浴体験にもってこいでございます。
また、この度新設しました貸切風呂 豊玉の湯は小さな浴槽ながら、たくさんのこだわりを詰め込んだ造りになっております。
癒しの泉質を楽しみながら、内観的なリラクセーションのおすすめをしたいと思います。
具体的な方法は次の項目でご紹介いたします。
五感を開放する入浴体験
五感とは、視・聴・嗅・味・触の5つの感覚を指します。
豊玉の湯では、パーソナルな空間を活かして、日頃緊張にさらされている全身の感覚をゆっくり開放する入浴をおすすめしています。
視覚:デジタル機器で酷使しがちな目に、キャンドルの炎の優しい癒しはいかがでしょう。
調光可能な浴室内の明かりをお好みに加減して目の緊張を和らげることができます。
また屋外デッキや窓を通して見える青空や川辺の緑、夜空の星、浴槽に敷き詰めた美しい青緑の福光石をゆったり眺めるのもおすすめです。
聴覚:温泉の流れる水音、デッキ扉を開放して、小田川のせせらぎ、風のざわめき、野鳥の声など自然の音に耳をすませて。
嗅覚:木造りにこだわった建屋です。建物やヒノキの浴槽の香りやデッキの外の自然の香りを意識してみてください。
味覚:飲用は認められておりませんので、お料理でお楽しみください。
触覚:浴槽ふちのヒノキの手触り、浴槽内に敷いた福光石のやわらかくなめらかな感触を全身でご堪能ください。
また湯涌き出し口に手をかざしたり、水面に垂直に手のひらを落としてみたり、お湯のふわふわ感をぜひお試しください。
水をイオン化する特別なシャワーヘッドを採用しております。ゆっくり全身に浴びるだけで美肌促進、緊張がほぐれます。
ちょっとしたことですが、感覚に意識を向けるだけでリラックス効果はかなり上がります。
無心になるもよし、内観するもよし、ゆったりした瞑想タイムをお過ごしください。
貸切風呂はバリアフリーにも対応
脱衣室に入ってすぐの右側が浴槽側へ開く扉になっています。
全身での入浴にご負担があるときなど、足湯としてご利用頂ける造りになっており、着衣のまま、足を浴槽へ浸してゆっくり温まることができます。
(※足湯を利用される時以外の扉の開放はご遠慮ください)
また、豊玉の湯の入口は吊り戸、浴室との境目もフラットで車いすのまま出入りがスムーズにできます。
ただ、現在のところ、背もたれのない高めの腰掛はございますが、入浴専用の車いす等の設備がございません。
通常の車いすの貸し出しもございませんので、あらかじめご了承くださいませ。
いづれの浴室も換気と空気清浄機を常に稼働させて感染症対策を致しております。
また光触媒で抗菌抗ウイルス作用のあるイオニアコートを施しておりますので一層安全でございます。
どうか安心してご利用下さい。